自画像 15-100036
首も肩も描かれず、顔だけが黄土色の地に浮かぶこの構図は、シーレの自画像の中でも際立って異質な存在感を放っています。身体から切り離された顔は、社会的な文脈や役割をすべて剥ぎ取られた純粋な「自己」の断片として提示されており、自分とは何かという問いを最も剥き出しの形で突きつけています。20歳という若さでこの構図を選んだことに、シーレの本質的な問いの深さが宿っています。
■アーティスト
Egon Schiele (Austrian, 1890-1918)
20世紀初頭のウィーンで鮮烈な足跡を残した表現主義を代表する画家です。グスタフ・クリムトに才能を見出され強い影響を受けましたが、やがて独自のスタイルを確立しました。最大の特徴は、鋭く力強い線描と、極端に歪められたポーズです。人間の肉体を通じて、内面にある孤独、不安、性、そして死といった生々しい感情を曝け出しました。多くの自画像を描き、自己の内面を徹底的に見つめ続けたその姿勢は、当時の倫理観を揺さぶるほど過激なものでした。彼の作品に漂う退廃的な雰囲気と、剥き出しの生命力は、100年以上経った今もなお多くの人々を惹きつけてやみません。スペイン風邪によりわずか28歳でこの世を去りましたが、短すぎる生涯の中で残された数多くの素描や油彩画は、人間の深淵を描いた芸術として高く評価されています。痛切なまでの純粋さが宿る画家です。
■作品概要
Selbstbildnis (1910)
顔だけが、黄土色の紙の中に浮かんでいます。首も肩も胴体もなく、ただ顔だけが、切り取られたように存在しています。黒々とした髪が荒々しく逆立ち、重い眼差しが斜め下へと落ちる。口はわずかに開き、何かを言いかけたまま沈黙しています。1910年、シーレ20歳。ウィーン美術アカデミーを去り、自らの表現を模索していた転換の年。この顔には怒りも悲しみも混じり合い、どれとも言い切れない複雑な感情が、輪郭線の中に凝縮されています。黄土・茶・黒が幾重にも重なる肌の色調は、光と影というより、内面の層そのものを映しているかのようです。輪郭線は太く、断定的で、迷いがない。それでいて、顔の各部位の描写には微妙なずれと歪みが宿り、正確な再現よりも真実の捕捉を優先したシーレの意志が滲んでいます。
■サイズ
・A4/ 210mm×210mm
・A3/ 297mm×297mm
・A2/ 420mm×420mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
エゴン・シーレ 自画像 Selbstbildnis 1910年 表現主義 ウィーン世紀末 オーストリア絵画 素描 クレヨン 水彩 黄土色 黒 顔 輪郭線 内面表現 自己凝視 近代絵画 20世紀絵画 ウィーン分離派 青年期 孤独 実存 告白的絵画 魂の肖像 転換期 歪み 感情 自己解体 沈黙 剥き出し


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