繍仏種子阿字図 20-100037
刺繍によって仏をあらわす繡仏は、飛鳥時代の天寿国繡帳にまでさかのぼる長い歴史を持ちます。鎌倉時代以降は種子や名号を縫いあらわしたものも多く造られ、故人の髪を縫い込んで追善を願った例も知られています。一針一針を重ねる行為そのものが功徳とされ、縫う人の祈りが糸とともに仏の姿に結ばれていきました。
■アーティスト
不詳
■作品概要
繡仏種子阿字図(14世紀)
淡い緑の地に浮かぶ、大きな月輪。その中に、ただ一字、梵字の「阿」が据えられています。下には蓮華の花弁がひらき、上からは天蓋の瓔珞が静かに垂れる。尊像の姿はどこにもなく、それでいてここには、たしかに仏がおわします。阿字は大日如来をあらわす種子であり、あらゆる音の始まりとされる一字。万物はもとより生じることも滅することもないという「阿字本不生」の理を宿し、密教では心を澄ませて深く観想されてきました。伸びやかな筆の勢いは、一針ごとに糸を重ねて写し取られています。糸の流れが墨の運びをそのまま追い、うねるように渦を描く。仏を縫いあらわすことは、それ自体がひとつの祈りでした。幾千の針目に込められた願いが、長い歳月を経た今も、褪せた色のなかに静かに息づいています。ひと文字の前に、言葉はいらない。ただ静かに向き合うための一幅です。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/297mm×420mm
・A2/420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
繡仏 刺繍 種子 種子曼荼羅 阿字 梵字 悉曇 大日如来 阿字観 阿字本不生 月輪 蓮華 蓮台 天蓋 瓔珞 密教 真言密教 真言宗 胎蔵界 仏教美術 仏画 日本美術 鎌倉時代 南北朝時代 14世紀 絹糸 追善供養 写経 瞑想 掛軸
出典:ColBaseの画像をもとに色調補正・修整
所蔵:東京国立博物館
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