健康の女神ヒュギエイア 26-103003
ヒュギエイアの図像学において、蛇は彼女の右腕を渡り、左手に持つ浅い器で養われる姿で表現されます。この蛇は復活の象徴であり、器は薬学の象徴です。現代医学のシンボルである「アスクレピオスの杖」や「ヒュギエイアの杯」はこの図像に由来しており、ルーベンスが描いたこの場面は神話画を超えて、医学と健康の普遍的な象徴として今なお生き続けています。
■アーティスト
Peter Paul Rubens [ ペーテル・パウル・ルーベンス ] (1577-1640)
フランドル(現ベルギー)出身のバロック絵画を代表する画家です。イタリアで古典美術やルネサンスを学んだ後、アントワープを拠点に活躍しました。豊かな色彩、ダイナミックな構図、肉感的な人物表現を特徴とし、宗教画・神話画・肖像画など幅広いジャンルで傑作を残しました。代表作には『キリストの降架』『マリー・ド・メディシスの生涯』連作などがあります。工房を率いて大量の作品を制作する一方、外交官としても活動し、スペイン・イギリス・フランスなどの宮廷と交流。知性と社交性を兼ね備えた「画家の王子」として称えられました。その影響は後世のドラクロワなど多くの画家に及んでいます。
■作品概要
Hygeia, Goddess of Health (ca. 1615)
緋色のマントをまとった女性が、腕に巻きついた大蛇に器から液体を与えています。視線は蛇へと落ち、その表情は穏やかで、恐れも躊躇もありません。これは医術の神アスクレピオスの娘、健康と衛生の女神ヒュギエイアの姿です。1615年頃、ルーベンス円熟期の傑作。ヒュギエイアはギリシャ神話において医術の神アスクレピオスの娘であり、健康と清潔の擬人化として崇められました。彼女の名はそのまま「衛生(hygiene)」という言葉の語源となっています。器は薬学の象徴となり、蛇は器の中身を糧として復活の象徴となりました。腕に絡みつく黄金色の大蛇は脅威ではなく、聖なる存在、父アスクレピオスの象徴である蛇が娘ヒュギエイアによって養われるという構図は、死した医術の神が娘によって生かされ続けるという神話的な継承を体現しています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■関連キーワード
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