菱形による色彩習作 33-100003
菱形という単純な反復単位を舞台に、濃紺・黄・マゼンタ・ターコイズ・赤・淡桃の六声部が対位法のように絡み合います。水彩ならではの滲みと濃淡が、機械的な均一さを拒み、各色のセルに固有の呼吸と重みを与えています。色相の対比と類似が交互に配置され、視線が動くたびに異なる和声が響き渡るような構成は、カンディンスキーが追求した「色彩の音楽性」の核心を体現しています。
■アーティスト
ワシリー・カンディンスキー [ Wassily Kandinsky ] (1866/12/4-1944/12/13)
ロシア生まれの画家であり、抽象絵画の先駆者として知られています。
もともとは法学を学び、30歳を過ぎてから画家を志してミュンヘンへ移住。1909年には「青騎士(Der Blaue Reiter)」グループを結成し、表現主義運動の中心的存在となりました。カンディンスキーは、音を聞くと色を感じるという色聴共感覚の持ち主だったといわれ、彼の作品には音楽的リズムや旋律のような調和が息づいています。色彩と形の関係を深く探求し、視覚によって感情や精神性を表現する「内的必然性(inner necessity)」を芸術の核心と考えました。代表作「コンポジション」シリーズをはじめ、1911年に発表した著書『芸術における精神的なもの』は、抽象芸術の理論的基盤を築き、後の芸術家たちに大きな影響を与えました。また、バウハウスで教鞭をとり、20世紀の美術とデザインの発展に決定的な足跡を残しました。
■作品概要
Farbstudie mit Rauten (1913)
青が鳴る。黄が叫ぶ。紅が震える。菱形という最も純粋な幾何の器に注がれた色彩たちは、互いに衝突しながらも和音を奏でています。濃紺の低音、黄の高鳴り、ターコイズの澄んだ旋律。それらが格子状のリズムの中で共鳴し、静止した紙の上に音楽を生んでいます。水彩の滲みは意図的な揺らぎ。完璧な均質を拒みながら、色と色の境界線には息継ぎのような白が宿ります。これは習作と題されながら、習作という言葉を超えています。色彩とは感情の直接言語であると信じた画家の思想が、菱形ひとつひとつに充填されています。あなたはこの作品を眺めるとき、何色の音を聴きますか。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm ・A4短辺正方形/ 210mm×210mm
・A3/ 297mm×420mm ・A3短辺正方形/ 297mm×297mm
・A2/ 420mm×594mm ・A2短辺正方形/ 420mm×420mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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