菫に猫と蝶 25-100107
草むらに伏せた白猫の全身から、獲物を追う者特有の張り詰めたエネルギーが溢れ出しています。古邨は、蝶の気配を察知した瞬間の、猫の知覚が研ぎ澄まされる劇的な刹那を切り取りました。愛らしい風貌の裏に潜むハンターとしての鋭い眼差しが、春の静寂を鮮烈な緊張感へと塗り替えていきます。
■アーティスト
小原古邨 [ おはらこそん ] (1877-1945)
本の画家・木版画の下絵師で、花鳥画を中心に活躍しました。本名は小原又雄で、加賀国(現・石川県)出身。鈴木華邨に学び、フェノロサの影響を受けながら、アメリカ向けの花鳥画を多く制作しました。初期は肉筆画を発表し、版元・松木平吉の依頼で版画の下絵を手掛けました。大正時代には「祥邨」、昭和初期には「豊邨」と号を改め、渡辺版画店などを通じて多くの作品を発表。彼の版画は、伝統的な浮世絵技法と写実的な表現を融合させた独自のスタイルで評価されています。作品は主に海外輸出向けで、ボストン美術館や大英博物館などに所蔵。近年、日本国内でも展覧会が開催され、その芸術性が再評価されています。
■作品概要
菫に猫と蝶(すみれにねことちょう)
春の柔らかな日差しが降り注ぐ草むらで、一瞬の静寂と好奇心が火花を散らす──。古邨が描いたこの一幅は、可憐な日常のなかに潜む狩猟者としての本能を劇的に捉えています。横たわるのは、赤い首輪を揺らした一匹の白猫。その視線は、虚空を舞う一羽の蝶に釘付けになっています。白猫の羽毛のように柔らかな毛並み、そして獲物を射抜かんとする鋭い金色の瞳。猫のしなやかな肉体から立ち上がる緊張感と、今にも前足が飛び出しそうな躍動の予兆を見事に封じ込めました。舞い上がる蝶は、その危うい羽ばたきで静かな空間に波紋を広げ、猫との間に目に見えない熱い火花を散らしています。足元に咲くスミレの淡い紫が、この命の駆け引きに叙情的な美しさを添えています。平和な春の情景のなかで、野生の知性と無垢な遊び心が交差する刹那。そこには、命あるものが持つ純粋な躍動と、二度と戻らない一瞬のドラマが凝縮されています。
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小原古邨が手がけたこの作品は、浮世絵の伝統に近代的な写実性を吹き込んだ新版画の白眉です。春の草花に囲まれた猫と蝶の描写には、観る者をその場に引き込むような、瑞々しくも鋭い生命感が宿っています。明治から昭和にかけて洗練された木版画の技術は、猫の白い毛並みの質感や、舞い上がる蝶の繊細な彩りをドラマチックに表現し、画面に深い叙情と静寂をもたらしました。日本美術が大切にしてきた、生き物たちの無垢な姿と自然の調和を、春という光あふれる季節感とともに描いた本作は、和モダンなデザインとして、現代のインテリア空間においても圧倒的な存在感を放つアートです。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
本商品は用紙のご選択が可能です
⇒ フォトマット紙0.25mm厚
官製はがき(0.2mm)よりもやや厚いコシのある紙質。
画用紙に近い印象となり、光沢がないので版画のような仕上がりになります。
日本画によく合います。
⇒ 半光沢紙026mm厚
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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お届けについて
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