下弦月に狸 25-100108
深い霧が立ち込める竹林を背景に、月光を背負って現れた狸の姿は、まるで夜の精霊のような神秘性を放っています。古邨は、この生き物が持つ知性的で少し寂しげな表情をドラマチックに描き出し、ただの野生動物ではない、物語性を感じさせる肖像へと昇華させました。
■アーティスト
小原古邨 [ おはらこそん ] (1877-1945)
本の画家・木版画の下絵師で、花鳥画を中心に活躍しました。本名は小原又雄で、加賀国(現・石川県)出身。鈴木華邨に学び、フェノロサの影響を受けながら、アメリカ向けの花鳥画を多く制作しました。初期は肉筆画を発表し、版元・松木平吉の依頼で版画の下絵を手掛けました。大正時代には「祥邨」、昭和初期には「豊邨」と号を改め、渡辺版画店などを通じて多くの作品を発表。彼の版画は、伝統的な浮世絵技法と写実的な表現を融合させた独自のスタイルで評価されています。作品は主に海外輸出向けで、ボストン美術館や大英博物館などに所蔵。近年、日本国内でも展覧会が開催され、その芸術性が再評価されています。
■作品概要
下弦月に狸(かげんのつきにたぬき)
静寂が支配する月夜の竹林、霧の向こうから現れたのは、一匹の孤独な探求者──。日本の夜に潜む神秘と、野生の命が持つ静かなる威厳を劇的に捉えています。頭上に浮かぶ下弦の月は、霧に霞みながら、竹林を銀色の静寂で包み込んでいます。その冷徹な光のなか、一歩を踏み出す狸。ふんわりとした毛並みの一筋一筋には、夜の湿り気と冷気が宿っているかのようです。古邨の卓越した木版画技術は、単なる動物の描写を超え、夜という巨大な舞台装置のなかで生きる者の魂の重みを克明に描き出しました。狸の金色の眼差しには、暗闇を見通す鋭い知性と、人間が決して踏み込めない野生の誇りが宿っています。竹の鋭い葉が風にそよぐ音さえ聞こえてきそうな、完璧なまでの構成。月の光に照らされたこの刹那には、日常の裏側に存在する、美しくも峻烈な生命のドラマが凝縮されています。
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小原古邨によるこの作品は、浮世絵の伝統的な情感に、西洋的な陰影表現を融合させた新版画の代表作です。月光が差す竹林から姿を現した狸の描写には、夜の静寂を切り裂くような、鋭くも神秘的な生命感が宿っています。明治から昭和にかけて洗練された木版画の技術は、狸の柔らかな毛並みの質感や、霧に煙る月夜の彩りをドラマチックに表現し、深い叙情と静寂をもたらしました。日本美術が古来より大切にしてきた、夜という幻想的な季節感を、動物の気高い姿を通して描いた本作は、和モダンなデザインとして、現代のインテリア空間においても圧倒的な存在感を放つアートです。レトロな情緒のなかに息づく繊細な風景は、鑑賞する者に、自然と共生する喜びを再発見させるような深い癒やしを与えます。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
本商品は用紙のご選択が可能です
⇒ フォトマット紙0.25mm厚
官製はがき(0.2mm)よりもやや厚いコシのある紙質。
画用紙に近い印象となり、光沢がないので版画のような仕上がりになります。
日本画によく合います。
⇒ 半光沢紙026mm厚
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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お届けについて
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