記念の葉 E 26-100158
バウハウス期のクレーが多用した転写印刷インクの技法では、すでに描かれた線画を別の紙に転写し、その上から水彩を重ねます。こうして生まれた作品は、鉛筆の線と水彩の色が異なる層に存在し、まるで現実と夢が透けて重なるような独特の奥行きを持ちます。
■アーティスト
Paul Klee (German, 1879-1940)
パウル・クレーにとって、音楽と絵画は別々の芸術ではありませんでした。バイオリンを手にするとき、彼の内側では同時に色が動き、線が鳴り始めたといいます。バウハウスで色彩理論を教えながら、クレーは「ドの音は青い」「旋律は線である」という感覚で授業を行いました。生徒たちは戸惑いながらも、その言葉が妙に腑に落ちることに気づいたといいます。作品を見ると、その感覚が伝わってきます。幾何学的な形がリズムを刻み、色の配置が和音のように響き合っています。説明しようとすると言葉が追いつかない。しかし何かが聞こえる気がする。クレーの絵の前に立つと、多くの人がそう感じます。晩年、難病で手が思うように動かなくなったとき、クレーの線は太く単純になりました。しかしその線の中に、静かな旋律が残っています。音楽家が最後に弾く一音のように、余分なものがすべて削ぎ落とされた先にある、純粋な響きです。
■作品概要
Gedenkblatt E (1924) ゲデンクブラット E
赤い飛沫が花火のように散り、淡い三角形の断片が幾重にも重なり合います。奇妙な顔、目玉、アルファベットの「E」、時計、小さな人物。無数のイメージが隅々に宿り、まるで夢のページをめくるような一枚です。「Gedenkblatt(記念の葉)」とは、誰かまたは何かへの記念・追悼の意を込めた一枚。「E」という文字が何を指すのかは明かされないまま、謎めいた詩的な余韻を残します。1924年はクレーがワイマールのバウハウスで教壇に立っていた時期。転写印刷インクと水彩を組み合わせた独自の技法によって、下層の線描が透けて浮かぶ幻灯的な奥行きが生まれています。赤の閃光と透明な色の層が交差する中に、クレーの詩的な宇宙がひそやかに宿っています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
パウル・クレー 記念の葉 Gedenkblatt E 1924 水彩 転写印刷インク バウハウス ワイマール 記号 文字 赤 三角形 幻想 夢 抽象 表現主義 シュルレアリスム 近代美術 ドイツ スイス 20世紀絵画 詩的 記念 断片 重層 色彩 線描 奥行き

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