黄色い半月とYのある構成 26-100164
深い緑と黒に囲まれながら、黄色い半月だけが柔らかな光を放ちます。キュビスム的に断ち切られた面が積み重なる中で、この半円形の黄色だけが有機的な命を持ち、暗い構造の中心に宿る一点の希望のよう。戦時下に制作されたこの作品において、月光は静かな詩情を湛えています。
■アーティスト
Paul Klee (German, 1879-1940)
スイス生まれのドイツ人画家・美術理論家です。父は音楽教師、母は声楽家という音楽一家に育ち、クレー自身もヴァイオリンをプロ級に弾きこなすほどの腕前でした。この音楽への深い素養は、生涯にわたって作品に色濃く反映されています。1914年のチュニジア旅行が大きな転機となり、強烈な光と色彩に触れたことで「色彩が私を捉えた」と記し、それ以降は鮮やかな色彩と抽象表現へと画風が明確に変化しました。カンディンスキーらとともに「青騎士(ブラウエ・ライター)」を結成し、1920年からはバウハウスで造形論の講義を担当。理論家としても重要な存在でした。その作風は表現主義にも超現実主義にも収まらない独特のもので、子どものような無邪気な線と深い思索が共存しています。晩年は難病・強皮症を患いながらも制作を続け、1940年にスイスで没しました。
■作品概要
Composition with the Yellow Half-Moon and the Y (1918)
濃い緑と黒、その隙間から黄色い半月が顔をのぞかせます。三角・円・四角が複雑に組み合わさり、アルファベットの「Y」と十字の形が異質な輝きを放つ。これは都市の俯瞰でしょうか、それとも夢の中の構造物でしょうか。1918年、第一次世界大戦の終戦直前。クレーはドイツ軍に従軍しながらも制作を続け、この作品はドレスデンの画廊で「Y のある構成」として同年5月に初展示されました。キュビスムの影響を受けた幾何学的な断面の組み合わせと、ほのかに輝く半月の黄色が独特の宇宙的な神秘を醸し出します。グワッシュと油彩を紙に施したこの小品は、手のひらほどの大きさに緻密な世界を凝縮させています。暗い時代の只中で輝く黄色い半月の静かな光です。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
パウル・クレー 黄色い半月とYのある構成 Composition Yellow Half-Moon 1918 グワッシュ 油彩 キュビスム 幾何学 半月 黄色 緑 黒 記号 文字 第一次世界大戦 抽象 構成 近代美術 ドイツ スイス 20世紀絵画 幻想 詩情 神秘 夜 月 三角 円 表現主義

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