谷中・天王寺 24-101011
満月と五重塔のシルエットという、日本の夜景の美しさを凝縮したような構図です。霧雨に煙る灰色の大気、満月のほのかな白、塔と木々の黒いシルエット。モノクロームに近い色調の中に、木版ならではの繊細なぼかしが夜の奥行きと湿り気を見事に表現しています。
■アーティスト
根来莱山 [ねごろ らいざん、川面良雄 ] (1877年4月17日-1963年8月10日)
大正時代に活躍した木版画家です。版元・吉川弘文館から作品を発表し、東京の風景を題材にした新版画を制作しました。作品の多くは1923年の関東大震災以前に出版されたため、大震災で多くが失われ、現存する数が非常に少ないことから、今日では希少な存在となっています。また、川瀬巴水の版元として知られる渡邊庄三郎のような強力なプロモーターを持たなかったことも、知名度が広まりにくかった一因と考えられています。 莱山の作品には、繊細な黒と灰のぼかしが随所に用いられており、静けさと奥行きのある独自の雰囲気を持っています。雨、霧、夕暮れなど、気象や光の変化をとらえた風景を得意とし、浮世絵の伝統に西洋的な表現を取り入れた大正新版画の精神を体現した画家のひとりです。
■作品概要
谷中・天王寺
霧雨に煙る夜の闇の中、満月がぼんやりと輝き、その隣に五重塔のシルエットが静かにそびえています。谷中の天王寺は東京で最も古い寺院の一つで、天台宗に属していました。境内に立つ五重塔は1644年に建てられ、1791年に再建されたもので、高さ約35メートルと関東最大の木造五重塔でした。この版画ではその五重塔が霧の夜に浮かぶシルエットとして描かれ、満月の白い光だけが灰色の大気の中に温かく輝いています。月と塔、樹木の枝、三者がひとつの静謐な夜の詩を構成しています。この五重塔は幸田露伴の小説「五重塔」のモデルとなった有名な建造物でしたが、1957年に心中放火によって焼失し、今はもうその姿を見ることができません。根来莱山が1922年に刷ったこの版画は、その悲劇の35年前に描かれた、失われた塔の美しい記録です。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
本商品は用紙のご選択が可能です
⇒ フォトマット紙0.25mm厚
官製はがき(0.2mm)よりもやや厚いコシのある紙質。
画用紙に近い印象となり、光沢がないので版画のような仕上がりになります。
日本画によく合います。
⇒ 半光沢紙026mm厚
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
根来莱山 谷中 天王寺 五重塔 1922年 木版画 新版画 大正 吉川弘文館 浮世絵 東京 台東区 月夜 霧 夜景 シルエット 幸田露伴 五重塔 放火 焼失 風景版画 日本画 和風 関東大震災 希少 歴史 失われた風景 静謐 アート インテリア ポスター 日本美術
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