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歌川国芳




歌川国芳 [ うたがわ くによし] (1798年1月1日-1861年4月14日)
江戸後期の浮世絵師で、武者絵・風景画・戯画など多彩なジャンルで才能を発揮した人物です。特に「水滸伝」に代表される豪快な武者絵は、力強い描線と独創的な構図で高く評価されています。また、庶民文化への共感が深く、猫をはじめとする動物や風俗をユーモラスに描いた戯画も人気を集めました。大胆な遠近法の取り入れや、西洋風表現の積極的な採用など、新しい技法への好奇心も国芳の特徴です。その作風は一門にも受け継がれ、幕末から明治へ移りゆく時代の浮世絵に大きな影響を与えました。
国芳は、江戸の息づかいをそのまま版画へ吹き込んだような絵師です。荒々しい武者の動きも、荒波のうねりも、街角の猫のぬくもりも、すべてが彼の手を通すと鼓動をもった物語になります。豪快な線は迫力を帯びながら、どこか人情の温度を含んでいます。強さの影にある哀しみや優しさまで描き込むことで、絵は時代を超えて生き続けます。国芳の作品は、見る人に「世界はこんなにも面白い」とそっと語りかけ、心の奥で小さな火を灯してくれるように感じられます。

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