浮遊(盲目者 II) 15-100147
背景を埋め尽くす様式化された風景には花のような模様が散りばめられ、生命の豊かさと美しさが漂っています。しかしその上に浮かぶ聖職者を思わせる衣のふたつの人物は、まさにその生命から離脱しようとしています。この逆説、生命に満ちた世界の中で死に向かう魂がシーレの晩年の主要なテーマであり、第一次世界大戦という死が日常となった時代の空気と深く共鳴しています。
■アーティスト
Egon Schiele (Austrian, 1890-1918)
20世紀初頭のウィーンで鮮烈な足跡を残した表現主義を代表する画家です。グスタフ・クリムトに才能を見出され強い影響を受けましたが、やがて独自のスタイルを確立しました。最大の特徴は、鋭く力強い線描と、極端に歪められたポーズです。人間の肉体を通じて、内面にある孤独、不安、性、そして死といった生々しい感情を曝け出しました。多くの自画像を描き、自己の内面を徹底的に見つめ続けたその姿勢は、当時の倫理観を揺さぶるほど過激なものでした。彼の作品に漂う退廃的な雰囲気と、剥き出しの生命力は、100年以上経った今もなお多くの人々を惹きつけてやみません。スペイン風邪によりわずか28歳でこの世を去りましたが、短すぎる生涯の中で残された数多くの素描や油彩画は、人間の深淵を描いた芸術として高く評価されています。痛切なまでの純粋さが宿る画家です。
■作品概要
Levitation (The Blind II) (1915)
ふたりの人物が、大地から離れようとしています。下の人物はまだ爪先で地を踏みしめ、上の人物はすでに地上との接点を失っています。ふたりともシーレ自身の面影を持ち、聖職者を思わせる衣をまとい、様式化された風景の前で浮揚のふたつの段階に置かれています。この作品の主題は死の大いなる神秘への瞑想です。シーレの焦点は生と死の境界面にあり、死後に何が待ち受けるかについては答えを差し控えています。ほとんど生命を失いかけたふたつの人物の大きな瞳は疲れ果て、瞼は半ば閉じられ、顔は緑がかった色調を帯び、指先はゆるやかな祈りのポーズで触れ合っています。 1915年、エディットとの結婚直後、兵役が迫る緊張の年。下の人物の表情と身振りはまだわずかな生命の残滓を示しており、絵の中心から恐怖の表情でこちらを見つめています。この作品は人間が地上の生を手放していく様を容赦なく描き出し、すべて人間的なものの儚さを赤裸々にしながら、死の先に何があるかという問いを投げかけています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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