上下を黒く縁取られたミニアチュール 26-100166
三角の峰、うねる丘、小さな緑の木々、円形の葉、流れる水のような帯。どれも具体的な名前を持ちながら、ひとつひとつの境界が溶け合い、大地・植物・空・水が分かちがたく絡み合います。チュニジアへの旅で色彩の解放を体験したクレーが、自然の記憶を抽象の文法で再構成した、熱帯的な豊かさに満ちた世界です。
■アーティスト
Paul Klee (German, 1879-1940)
パウル・クレーにとって、音楽と絵画は別々の芸術ではありませんでした。バイオリンを手にするとき、彼の内側では同時に色が動き、線が鳴り始めたといいます。バウハウスで色彩理論を教えながら、クレーは「ドの音は青い」「旋律は線である」という感覚で授業を行いました。生徒たちは戸惑いながらも、その言葉が妙に腑に落ちることに気づいたといいます。作品を見ると、その感覚が伝わってきます。幾何学的な形がリズムを刻み、色の配置が和音のように響き合っています。説明しようとすると言葉が追いつかない。しかし何かが聞こえる気がする。クレーの絵の前に立つと、多くの人がそう感じます。晩年、難病で手が思うように動かなくなったとき、クレーの線は太く単純になりました。しかしその線の中に、静かな旋律が残っています。音楽家が最後に弾く一音のように、余分なものがすべて削ぎ落とされた先にある、純粋な響きです。
■作品概要
Miniatüre Oben u Unten Schwarz Gefasst (Miniature Framed Black at Top and Bottom) (1917) ミニアテュール・オーベン・ウント・ウンテン・シュヴァルツ・ゲファスト
全面に小さな生命の断片が溢れています。橙・黄・緑・青・ピンクの有機的な形が絡み合い、三角の山、丸い葉、うねる流れ、小さな樹木、大地と空と水のすべてが、ひとつの祝祭のように混ざり合います。上下を縁取る黒い帯が、この色彩の宴を小さな「世界」として完結させています。1917年は、クレーがドイツ軍に従軍しながらも精力的に制作を続けていた時期。戦時中、クレーは経理事務の合間を縫って野外に出て水彩絵具を手に制作に没頭しました。タイトルに「ミニアチュール」とあるように、絵画を宝石細工のような精緻な小宇宙として扱うクレー特有の視点が、この作品にも色濃く宿っています。黒い縁取りは額縁ではなく作品の一部。大いなる自然を手のひらに収めた、静かな詩です。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
パウル・クレー 上下を黒く縁取られたミニアチュール Miniatüre oben unten schwarz gefasst 1917 水彩 第一次世界大戦 従軍 自然 有機形態 橙 黄 緑 青 ピンク 三角 丸 樹木 大地 ミニアチュール 小宇宙 表現主義 近代美術 ドイツ スイス 20世紀絵画 色彩理論 抽象 豊かさ 生命 チュニジア

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