蓮葉に蛙 25-100114
蓮池に叩きつける雨のなか、一歩も引かずに葉に佇む蛙の姿は、まさに嵐の中の哲学者そのものです。古邨は、叩きつける雨の激しさと、それに対比される蛙の完璧な静止をドラマチックに描き出しました。
■アーティスト
小原古邨 [ おはらこそん ] (1877-1945)
本の画家・木版画の下絵師で、花鳥画を中心に活躍しました。本名は小原又雄で、加賀国(現・石川県)出身。鈴木華邨に学び、フェノロサの影響を受けながら、アメリカ向けの花鳥画を多く制作しました。初期は肉筆画を発表し、版元・松木平吉の依頼で版画の下絵を手掛けました。大正時代には「祥邨」、昭和初期には「豊邨」と号を改め、渡辺版画店などを通じて多くの作品を発表。彼の版画は、伝統的な浮世絵技法と写実的な表現を融合させた独自のスタイルで評価されています。作品は主に海外輸出向けで、ボストン美術館や大英博物館などに所蔵。近年、日本国内でも展覧会が開催され、その芸術性が再評価されています。
■作品概要
蓮葉に蛙(はすはにかえる)
一筋の、そしてまた一筋の雨が、静まり返った蓮池を銀色の線で切り裂きます。小原古邨が描いたこの一幅は、激しさを増す雨音のなかで、ただ一点の動かぬ意思として存在する孤独な生命を捉えています。大きな蓮の葉の上に身を寄せる一匹の蛙。その赤茶色の背中は、降り頻る雨を弾き、鈍い光を放っています。古邨の卓越した木版画技術は、斜めに走る無数の細い線によって、池を包み込む湿った空気の重さと、雨脚の強さを見事に可視化しました。蓮の葉は重く頭を垂れ、水面は白く霞んでいます。過酷な自然の試練を前に、蛙は逃げることもなく、ただ静かに嵐が過ぎ去るのを待っています。その小さな背中には、避けることのできない運命を受け入れ、なおも凛として生きる者の気高き孤独が宿っています。静寂を切り裂く雨の調べと、不動の蛙。この極限のコントラストのなかに、古邨は生命が持つ根源的な強さと、自然界の圧倒的な叙情を封じ込めました。
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小原古邨によるこの作品は、浮世絵の伝統的な情感に、近代的な写実性を高次元で融合させた新版画の白眉といえる一品です。雨に煙る蓮池のなか、大きな蓮の葉の上で耐える蛙の描写には、静かな風景のなかに突如として現れる、力強く神秘的な生命感が宿っています。明治から昭和にかけて洗練された木版画の技術は、蛙の滑らかな質感や、降り頻る雨が描く銀色の彩りをドラマチックに表現し、画面に深い叙情と静寂をもたらしました。日本美術が古来より大切にしてきた、夏という季節感と雨の情趣を、動物の凛とした姿を通して描いた本作は、和モダンなデザインとして、現代のインテリア空間においても圧倒的な存在感を放つアートです。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
本商品は用紙のご選択が可能です
⇒ フォトマット紙0.25mm厚
官製はがき(0.2mm)よりもやや厚いコシのある紙質。
画用紙に近い印象となり、光沢がないので版画のような仕上がりになります。
日本画によく合います。
⇒ 半光沢紙026mm厚
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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お届けについて
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