391 表紙 この号はピンクのレースで縁取られている 16-101002
タイトルが約束する「ピンクのレース」はどこにもなく、あるのは素っ気ない線描のみ。この宣言と実態の乖離こそがダダの核心であり、芸術が「約束」を装ってきた長い歴史への、痛烈で静かな復讐です。
■アーティスト
フランシス・ピカビア [ Francis Picabia ] (1879-1953)
フランス生まれの画家で、ダダイズムとシュルレアリスムの中心的人物のひとりです。生涯を通じてひとつの様式に留まることを拒み、印象派から始まりキュビスム、抽象絵画、機械絵画、ダダ、そして具象へと絶えず変貌し続けました。その変節ぶりは批判を受けることもありましたが、ピカビア自身は矛盾を楽しむように様式を乗り換えていきました。特に注目されるのが「機械絵画」の時代です。人間の感情や関係性を機械の図面のように描いた作品群は、冷徹でありながら奇妙なユーモアをはらんでいます。愛や欲望を部品と歯車で表現するその手法は、当時の芸術界に挑発的な問いを投げかけました。既存の価値をすべて笑い飛ばすような姿勢はダダの精神そのものであり、マルセル・デュシャンとの交流がその過激さに拍車をかけました。何者にも定義されることを拒んだ画家。ピカビアの作品の前では、「芸術とは何か」という問い自体が宙吊りになります。
■作品概要
Front cover (1918)
「絵画は歯科医のためにある」、冒頭からそう言い放つピカビア。ピンクのレースで縁取られているはずのこの号に、レースなど一本もありません。月の色、何もしないこと、良縁。意味ありげな言葉の断片が、渦巻く線と幾何図形の周囲を漂います。そしてページの右に、自嘲とも開き直りとも読める告白。「定期的に『カンニバル』として現れることは本当に不可能だ、あまりにも馬鹿らしい。今回は『391』として受け入れてもらえると嬉しい」。芸術家の誠実さとは何か。約束を守ることか、それとも約束ごとを笑い飛ばすことか。1918年、ピカビアはこの一枚で、両方を同時にやってのけています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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