抽象的構成 16-101015
中央を貫く赤いジグザグの形態は、左右に分断しながら、同時に両者を引き寄せる軸としても機能しています。分割と統合を同時に担うこの両義的な形は、晩年のピカビアが到達した、矛盾を矛盾のまま肯定する境地を体現しています。
■アーティスト
フランシス・ピカビア [ Francis Picabia ] (1879-1953)
フランス生まれの画家で、ダダイズムとシュルレアリスムの中心的人物のひとりです。生涯を通じてひとつの様式に留まることを拒み、印象派から始まりキュビスム、抽象絵画、機械絵画、ダダ、そして具象へと絶えず変貌し続けました。その変節ぶりは批判を受けることもありましたが、ピカビア自身は矛盾を楽しむように様式を乗り換えていきました。特に注目されるのが「機械絵画」の時代です。人間の感情や関係性を機械の図面のように描いた作品群は、冷徹でありながら奇妙なユーモアをはらんでいます。愛や欲望を部品と歯車で表現するその手法は、当時の芸術界に挑発的な問いを投げかけました。既存の価値をすべて笑い飛ばすような姿勢はダダの精神そのものであり、マルセル・デュシャンとの交流がその過激さに拍車をかけました。何者にも定義されることを拒んだ画家。ピカビアの作品の前では、「芸術とは何か」という問い自体が宙吊りになります。
■作品概要
Composition abstraite (1947)
1947年。ピカビアは69歳。深い夜の青黒の中に、三つの形態が互いを押しのけるように存在しています。左の赤褐色の塊、中央を走る赤い稲妻、そして紫の輪郭に縁取られた右の灰白色の形。それぞれが異なる言語を持ち、異なる温度を放ちながら、しかし離れることができない。稲妻は分断しているのか、それとも繋いでいるのか。紫の輪郭はあまりにも柔らかく、赤の鋭さとの対比が暴力的なほどです。様式を転々と変え続けた生涯の末、ピカビアが辿り着いたのは、名前のない形態たちの静かな衝突でした。構成と呼ぶには激しすぎ、感情と呼ぶには冷静すぎる。それでいい、とこの絵は言っています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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