ウクライナの踊り子たち(ロシアの踊り子たち) 15-100053
髪飾りの青と黄という配色が改題の学術的根拠とされました。絵画に描かれた色彩情報が、制作から100年以上を経て呼称そのものを動かした事例です。
■アーティスト
エドガー・ドガ [ Edgar Degas ] (1834-1917)
パリの裕福な家庭に生まれ、ルーヴルで古典絵画を学んだ後、アングルの影響を受けた確かなデッサン力を基盤に独自の表現を確立しました。バレエのダンサー・競馬・カフェの情景・浴女など、近代パリの日常的な場面を主題に、瞬間の動きと光を鋭く捉えた作品を生涯にわたって描き続けました。印象派の仲間たちが戸外で風景を描いたのに対し、ドガは主に室内の人工的な光の中で制作し、「室内の印象派」とも呼ばれます。日本の浮世絵から影響を受けた大胆なトリミングと斜めの構図、パステルという画材への傾倒、晩年の彫刻作品、その表現は常に革新的でした。晩年は視力が著しく低下し、制作が困難になりながらも造形への情熱を失わず、83歳でパリに没しました。写真的な瞬間の切り取りと古典的なデッサンの融合が、ドガ芸術の核心です。
■作品概要
Danseuses Russes / Russian dancers (1899)
青と黄のリボンを髪に結び、赤と橙のスカートを翻しながら手を取り合う二人の踊り子。この作品は長らく「ロシアの踊り子たち」の題で知られてきましたが、2022年4月、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは「ウクライナの踊り子たち」へ改題しました。根拠として挙げられたのは、髪飾りやスカートの配色がウクライナの民族衣装の伝統色に近いという観察です。ただしこの改題は、ロシアによるウクライナ侵攻開始から約1ヶ月後という時期に発表されており、同館自身も題名を巡る議論は数年来のものだったとしつつ、侵攻とSNS上の指摘が決定を後押ししたと認めています。制作は1899年頃、パステルと木炭。当時パリのミュージックホールに出演していた東欧の舞踊団を観察して描かれたと見られますが、モデルの出自をドガ自身が記録した形跡はなく、100年以上を経た呼称の妥当性が、現在の政治状況と切り離せない形で問われた事例です。
■サイズ
・A4短辺正方形/ 210mm×210mm
・A3短辺正方形/ 297mm×297mm
・A2短辺正方形/ 420mm×420mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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