ヴィーナス 11-100118
足もとで羽ばたく白い鳩と、階段を一歩一歩下りる静かな足取りが、美と愛を司る女神の存在を象徴し、誇ることのない穏やかな面差しに、匂い立つような品格を添えています。
■アーティスト
アレクサンドル・カバネル [ Alexandre Cabanel ] (1823年9月28日 - 1889年1月23日)
フランス・モンペリエ出身の画家で、19世紀フランス・アカデミズム絵画の頂点に立った人物のひとりです。パリ国立美術学校で学び、ローマ賞を獲得してイタリアで研鑽を積んだ後、パリ・サロンで高い評価を受け続けました。1863年にサロンに出品した「ヴィーナスの誕生」はナポレオン3世が買い上げるほどの反響を呼び、カバネルの名を一躍ヨーロッパ中に知らしめました。その作品の特徴は、滑らかで完璧な肌の質感、流れるような構図、そして理想化された人体の美しさにあります。神話や歴史を主題としながらも、全体に漂う甘美な官能性がカバネルの作品を他のアカデミズム画家と一線を画すものにしています。同時代のマネやモネら印象派の台頭とともに、アカデミズム絵画は時代遅れとみなされた時期もありました。しかし現在は再評価が進み、19世紀ヨーロッパ絵画の精華として改めて注目を集めています。
■作品概要
Venus (1875)
神殿の階段を静かに下りながら、一人の女神が黄金の林檎を手にしています。長く波打つ金の髪が背に流れ、薄紅の絹の衣を肩にまとうその姿は、みずからの美を誇ることなく、ただ静謐にたたずむヴィーナスその人。足もとには白い鳩が羽ばたき、雲を思わせる大理石の柱廊が、天上と地上の境をあいまいに溶け合わせています。差し出された林檎は、美をめぐる神々の争いの記憶を静かに宿しながらも、女神の面差しには、勝ち誇る色はなく、ただ穏やかな慈しみだけが浮かび、匂い立つような気品と官能とが、清らかに調和しています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■キーワード
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