目覚まし時計 11-100513
卓上に自然に置かれた目覚まし時計、開きっぱなしの書物のページ。このさりげない日常の断片こそが、この作品の核心です。静物画の伝統的な「美しい配置」を意識せず、生活の場のありのままを写し取ろうとする姿勢が、20歳のマルケの感覚のなかに、すでに芽生えていたことを伝えています。
■アーティスト
アルベール・マルケ [ Albert Marquet ] (1875-1947)
フォーヴィスム(野獣派)に分類されるフランスの画家です。ボルドー生まれで、15歳のときに父の反対を押し切りパリへ出て絵を学び始めます。エコール・デ・ボザールではギュスターヴ・モローのもとでマティスやルオーと出会い、特にマティスとは生涯の親友となりました。 1905年にはマティスらとともに初のフォーヴィスム展に出品し、その中心的存在となりましたが、原色調の激しい表現はマルケの気質には合わず、長続きしませんでした。 やがてグレーや薄い青を基調とした落ち着いた色彩と穏やかなタッチで、パリの街や港の風景を描くようになり、「水の画家」と評されました。特に河岸や港の光景を高い視点から描くことを好み、ヨーロッパ各地やアルジェリアへと旅しながら水辺の風景を追い続けました。その簡潔な筆致と本質を捉えるデッサン力は、マティスから「わが北斎」と称えられるほどでした。
■作品概要
Le Réveil (1895)
赤茶色の壁を背に、目覚まし時計が文字盤をこちらへ向けて静かに佇み、書物や小さな器とともに卓上に並んでいます。1895年頃に描かれたこの小品は、ボードにマウントされたキャンバスに油彩で描かれており、ワイルデンシュタイン・プラットナー・インスティテュートのカタログ・レゾネに収録されています。マルケが画業を始めたばかりの20歳頃の作。まだフォーヴィスムへの傾倒も、港の風景への偏愛も確立されていない時期に、日常のありふれた卓上の静物へと向けられた若き眼差しがここにあります。 丸い文字盤を持つ目覚まし時計、開かれたままの書物のページが青と緑の筆触で崩れるように描かれ、小さなカップと赤みがかった器が脇に寄り添う。整然とした静物画とは程遠い、生活のなかのありふれた「日常」をそのまま捉えた構図。後年の静謐な水辺の画家とは異なる、探求と実験の息吹が生き生きと宿っています。
■サイズ
・A4/ 210mm×297mm
・A3/ 297mm×420mm
・A2/ 420mm×594mm
■材質
半光沢紙使用
光沢を抑えた仕上がりで反射が少なく、どの角度からでもきれいに鑑賞できます。
■関連キーワード
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